ここでは中小企業診断士試験の2次試験〈口述試験〉についての内容や対策について紹介したいと思います。
このページを見ている人には2次試験の合格者が多いと思います。まずは大変な試験お疲れ様でした。合格おめでとうございます。
同時に、口述試験を不安に思って検索された方も多いと思うので安心してもらうためにはじめに書いておきますが、口述試験は合格率99~100%の試験です。試験会場に行きさえすれば、よほどのこと(質問に対して無言や「分かりません」しか答えられない等)がない限り合格できます。ただし、対策無しではさすがに落ちますので準備はしっかりしましょう。
私の場合、4問を質問され、1問は満足いく回答、1問は何を答えて良いか分からず、試験官の期待した回答を答えられなかったことが確定、2問は何とかそれらしい回答をしたという自己評価でしたが、結果として合格していました。
それでは口述試験の説明に入りたいと思います。
口述試験当日の流れ
まずは口述試験当日の流れをお話しします。
大部屋に集合
会場に到着すると、まずは全員大部屋に入って待機します。
待機部屋に移動
口述試験の開始時間ごとに、グループ分けがされているため、グループ単位で順番に呼び出され、少し小さい待機部屋に移動します。待機部屋では2~3のグループが口述試験会場に呼び出されるのを待っています。
口述試験会場に移動
試験開始時間近くになると1グループずつ口述試験会場に移動します。グループの受験生1人1人に担当の案内係が付き、口述試験会場に案内されます。会場は全員別の部屋です。
会場に入る前に、案内係の方から口述試験についての注意点を説明されます。説明の内容は、ノックしてから入るとか、質問1問に対して2分くらいで答える等のような内容です。ここでの待ち時間はほとんどないです。
口述試験開始
口述試験は試験官2人と受験生1人というスタイルでした。試験官との距離は少し離れています。口述試験が終わると待機部屋に戻るようなことはなく直帰します。
感覚的ですがこれくらい距離が離れているイメージです↓
口述試験で聞かれる内容
試験会場に入ってまず第一に聞かれるのは、名前と生年月日です。私の時は「最初に名前を、次に生年月日を和暦で答えてください」というように答える順番にまで細かい指定をされました。この質問でもちゃんと聞いているか等を見られているのかもしれません。しっかりと質問を聞いて、聞かれた通りに落ち着いて答えましょう。
次に、2次試験〈記述試験〉に関する質問を原則4問出されます。この際、事例Ⅰ~Ⅳのうち、2つの事例から2問ずつの出題がされます。選ばれる事例は、記述試験での点数の悪かったものであるということや、試験時間の10分ピッタリに合わせるように出題数は前後するということを聞いたことがあります。
得点開示請求をした結果、私の得点ワースト1位、2位は事例Ⅲと事例Ⅳであったのに対し、口述試験での質問は事例Ⅱと事例Ⅳからだったので、記述試験で得点の悪かったものが口述試験で質問されるという話しはマユツバではないかと思います。
始まってしまうと10分はあっという間でした。家で練習していた時は1問に2分もかけて回答できず、せいぜい1分くらいだったのでどうなるか心配していましたが、実際の試験では試験官とのやりとり等の時間も含めて10分の試験のため、回答時間が短すぎて間がもたないとか不利益になることはありませんでした。
口述試験の雰囲気
私の場合、アットホームとまでは言わないまでも厳しいという印象は全く受けませんでした。多くの面接官がいるために、人によって多少の差はあるのだと思います。
事前に聞いていた通り、試験官の期待した答えを返せていない場合は、別の聞き方で聞き直してくれるという助け舟を出してもらえました。(私は1つの質問で2回聞き方を変えて質問されたのに、結局上手く答えられませんでした。)
口述試験の合格率
過去10年間の口述試験の合格率を記載しました。低い年でも合格率は99.5%ありますし、不合格者が1人も出ない年もあります。この結果から、口述試験は落とすための試験ではなく、下手なことをしなければ全員合格できる試験ということが分かります。
平成30年度・・・99.9%(不合格者1名)
平成29年度・・・99.8%(不合格者2名)
平成28年度・・・100%(不合格者なし)
平成27年度・・・100%(不合格者なし)
平成26年度・・・99.6%(不合格者5名)
平成25年度・・・99.5%(不合格者5名)
平成24年度・・・100%(不合格者なし)
平成23年度・・・99.5%(不合格者4名)
平成22年度・・・99.8%(不合格者2名)
平成29年度・・・99.6%(不合格者4名)
口述試験の対策と注意点
口述試験の対策についてお話しします。上にはほぼ全員合格できると記載しましたが、これはちゃんと準備をした上での話しです。
ただ、準備と言っても大層なことをするわけでは無いので心配しないでください。口述試験では手元資料無しで筆記試験に関する質問に答える必要があります。筆記試験の内容は頭に入れておかないと答えることができません。準備の中心は筆記試験の内容を頭に入れるというものになります。対策方法や注意点については以下に並べたので読んでみてください。
2次試験〈筆記〉の与件文、問題文を読み込む
対策としてはこれが1番重要です。口述試験は基本的に落ちない試験ですが、筆記試験に関する質問に、与件文や問題文の資料無しの状態で回答しなければならないため、ここができていないと対処のしようがありません。(このページの冒頭で「対策無しでは落ちる」と言ったのはこのことです。)何度も読み込んで頭に叩き込んでおいてください。
2次試験〈筆記〉の自分の回答や予備校の模範解答を読み込む
これも重要な対策です。口述試験の質問では筆記試験で問われた内容を言い方を変えて聞かれるだけというものもあります。
方法としては、自分の回答を読み込むのと、予備校の模範解答を読み込むというものがありますが、自分で回答がしっかりとできているものについては、自分の回答を読み込んでください。自分の回答の方がしっくりくるので覚えやすいですし、回答には現れない筆記試験の時に色々と考えた点なんかを思い出す助けにもなると思います。
予想問題で練習する
自分で、こんなこと聞かれそうだな。こんなこと聞かれたら嫌だなと思う内容を書き出しても良いですし、予備校が出すその年度用の対策問題を利用しても良いです。
対策を取っても、本番でそのままの内容が聞かれることはまず無いので、丸暗記は必要ありません。こう聞かれたらこう答えようという方向性だけ決める程度で良いと思います。
私は予備校の対策問題と自分で考えた質問を合わせて100問ほどを準備しましたが、それだけやっても本番で関連した出題は1問だけしか出ませんでした。その問題についても、事前予想そのままではなく少し捻って出題されたため、半分はその場で考えて回答しました。
練習は時間を測って声に出して行う
実際に声を出して回答する練習は絶対にしてください。頭で考えているだけだと、話すペース、声の大きさ、滑舌などの練習にならず本番で足をすくわれる可能性があります。
普段から実際に声を出す練習をしておくことで本番での緊張を軽減する効果も期待できます。
口述試験で聞かれた質問
最後に、私が2018年度の口述試験で実際に聞かれた質問を参考に載せておきます。黄色でマーキングしたような感じでちょっと捻って聞いてくるので、その辺りを想定しておくと良いと思います。
(事例Ⅱ)質問1、B社の施設に着目したときの強みは?反対に弱みは?
(事例Ⅱ)質問2、インバウンドのリピート客を増やす方策は?
(事例Ⅳ)質問3、合併ではキャッシュフローが十分増えなかったが、原因は何か?
(事例Ⅳ)質問4、D社が委託している事業を自社で実施する場合、費用構造はどうなるか?(これに対し、「実施のための費用が増加する」といった回答をしたところ、以下の聞き方をされました。)
具体的にはどんな費用が増えるか?