2019年5月、スタディング(旧:通勤講座)にAIマスター(β版)なるものが導入されました。AIってなんかすごそうと思ったと同時に、資格取得のための通信講座にAIを活用できる要素があるのか疑問に思い、AIマスターとは何かを調べてみました。
AIマスターで何ができるのか?
AIマスターでできることとして、『予測得点の算出』と『復習リコメンド』が挙げられています。
予測得点の算出について、スタディングのWebサイトには以下のように書かれています。
受講者が次のレッスンに進むたびに、そのレッスンを学習することで、どれぐらい「試験の予測得点が向上するか」を予測※します。(ここで、機械学習を用います)
レッスンが「問題」の場合には、その問題で何点獲得すると、「試験の予測得点が何点向上するか」を予測※します。通常は、目標点(通常は80点以上)を取ったときに、「試験の予測得点が何点向上するか」を予測※します。(ここで、機械学習を用います)
そこで得られた「試験の予測得点が何点向上するか」という点が大きい場合(つまり、試験合格にとって重要な問題の場合)には、AIマスターが以下のようなアドバイスをします。
これにより、受講者は、どのレッスン(問題含む)が試験合格にとって特に重要なのかが分かります。よって、受講者に、「それではこのレッスンは頑張ろう!」、問題の場合には、「目標点が取れるまで頑張ろう!」と思って学習に力を注いで頂けると期待しています。
スタディングWebサイトより:https://studying.jp/ai.html
色々と書かれていますが、要はスタディングでの学習をしている時に、AIマスターロボ(?)が出てきて、学習内容の重要度を教えてくれるという機能のようです。学習内容が重要かどうかの判断にAI=機械学習を使っているというのがポイントのようですね。
次に復習リコメンドの説明です。復習リコメンドは、以前問題を解いた時に、目標の得点が取れなかった時にAIマスターロボが出てきて、そのことを教えてくれる機能です。以下の添付画面を見ればすぐにイメージが掴めると思います。
スタディングのサイトに書かれているAIマスターの説明は、この程度なんですが、読んでみても正直AIマスターの必要性がよく分かりません。AIを使わなくても、スタディングは資格勉強の内容の中でどこが重要かということは当然把握しているでしょうから。
AIマスターの仕組み
スタディングのWebサイトではAIマスターの仕組みについても説明がされています。サイトには色々と書かれていますが、下記のイラストが一番分かりやすいかと思います。
簡単にまとめると、
・数多くの受講者から、スタディングでの勉強前後の模試の得点と、勉強内容のデータを集める。
・集めたデータから、どんな勉強をしたから何点得点が増えたという、予測式を作って、それをAIマスターロボが教えてくれる
ということのようです。
まとめ
以上、スタディングのAIマスターについて調べた結果を載せました。私の結論としては、現時点ではAIマスターは特に受講者のメリットになるようなものではないと感じました。
スタディングのサイトにも以下のようにAIマスターにはまだ改善の余地があると書かれています。
機械学習で試験の得点を予測するメリットは、
・人間による先入観ではなく、過去のデータから、試験の得点を予測する精緻なモデルが作成できることです。
一方で、デメリットは
・データを蓄積し、予測モデルを改善していかないと、妥当な予測値にならない。
・多くの機械学習のアルゴリズム(特に精緻な手法)では、なぜその予測値になったのか、人間ではわからない。(ブラックボックス化)事が挙げられます。
現在、AIマスターが「ベータ版」になっているのは、まだまだデータを蓄積し、予測精度を改善していく余地があるためです。
今後は「どのように学習すれば、合格できるのか?」という究極の質問に回答できるようなモデルに成長させていき、皆様の学習の心強い味方に育てていきたいと考えています。
誕生したばかりのAIマスターですので、時々不自然な値を出す事があるかもしれません。
ご不便をお掛けすることもあるかもしれませんが、日々改善・改革していく予定です。どうぞあたたかい目でAIマスターを見守って頂ければ幸いです。
現時点で特に受講者のメリットにはならないと書きましたが、とても面白い取り組みであり、今後どうなるかが楽しみだと思いました。
AIというのは、たくさんのデータを入力して学習させることで人間では気付かなかった規則性を見つけ出すことができます。今は問題の重要度を教えてくれる程度の機能しかありませんが、将来的にはスタディングのコメントにもあるように「どの内容を、どんな順番で、何回勉強したら合格できる」という究極の答えを出してくれるかもしれません。